ときには試合の流れさえも左右するファンの応援。プロ野球の各球団には、日本野球機構(NPB)が認可した応援団体が存在する。
甲子園のライトスタンドから選手にエールを送り続けるのは「阪神タイガース応援団」だ。12日現在で1勝1分12敗という悪夢のような日々の中で、応援団の葛藤も続く。
今季から甲子園球場では、3シーズンぶりに観客は無制限入場になったが、新型コロナウイルスの感染対策としてトランペット演奏はまだ解禁されていない。それでも大型の団旗は解禁され、4メートル四方もある旗があちらこちらで打ち振られる光景は圧巻だ。
試合中の観客席の熱気がどれだけ戻ってきたか確かめようと、ライトスタンドに向かった。外野フェンス裏の通路から観客席を見渡すと、タイガースのユニホームジャージに身を包んだファンでぎっしり埋まり、コロナ禍以前のにぎわいが戻っていた。うれしい。
ホームランや安打のたびにスタンドが沸き返る中、冷静に自分の役割に徹していたのが応援団「阪神伍虎会」の三橋匠団長(27)だ。阪神の攻撃中は常にグラウンドに背を向けて立ち、大きな身振り手振りで観客席の手拍子をリード。阪神は開幕から思うように勝てないが「チームが勝っていても負けていても、どんな状況でも変わらない応援をしていく」と三橋団長。観戦よりも観客席の統率を最優先するストイックな姿を見て、応援団に心から感謝したいと思った。
トラ番として、早く阪神の今季2勝目が見たい。(上阪正人)=随時掲載