3月末、フジテレビ系「めざまし8」を見ていて、椅子から転げ落ちそうになった。
ロシアによるウクライナ侵攻をめぐって、コメンテーターの橋下徹氏がウクライナ国民に対し、「国外に逃れてウラジーミル・プーチン大統領が不在となる数十年後に再起を期すこと」、つまり「戦わないこと」を勧めていたのだ。
戦わずに降伏したら、どうなるのか。
同番組には、ウクライナ人の国際政治学者、グレンコ・アンドリー氏も出演しており、「戦わずにロシアの言いなりになれば、反露的言動をとっていたウクライナ人は粛清されるんですよ」と必死に訴えていた。
百歩譲って、仮にロシアが国際社会の目を意識して、あからさまな非人道的な行為を自粛したとしても、そこに訪れるのは恐怖に支配された「奴隷の平和」だ。そんな尊厳の欠片もない状態に陥ることを勧めるのか。
橋下氏に改めて問いたい、「戦うことは『悪』ですか」と。
今回の戦争で特筆すべきは、「現代においては情報戦が国内外の世論に大きな影響を及ぼす」という事実が明らかになったことだ。マスメディアでは、「侵略したロシアは悪、されたウクライナは善」という単純化した構図で報じられることが多いが、双方の背景と思惑に触れるにつれ、単純な「善悪二元論」で語れるものではないことが見えてくる。