「西の比叡山」として知られる天台宗の古刹(こさつ)・円教寺(兵庫県姫路市)が所蔵する秘仏で国の重要文化財「性空(しょうくう)上人坐像」(高さ85・5センチ)内部に陶器製の壺が納められ、中にある性空の遺骨とされる骨の形が細部まで確認されたことが、九州国立博物館のCTスキャン調査で判明した。九博が11日、京都市内で発表した。九博は「国内では骨を壺に入れて像に納めるのは事例が少なく、当時の仏像のあり方をひもとく貴重な資料になる」としている。
性空(?~1007年)は平安時代中期の天台宗の高僧で、円教寺を開創した。像は性空の死後に作られたが、火災で焼失し、現存するものは正応元年(1288年)に寄せ木造りで再建された。
像内には性空の遺骨が入った「瑠璃壺(るりつぼ)」が納められているとの記録を基に、平成20年に奈良国立博物館がX線調査し、頭部内に壺があることが判明。当時のX線画像ではガラス製とされていた。
昨年末、九州国立博物館での特別展への出展をきっかけに、九博が調査。ろくろで成形された際の特徴や、釉薬(ゆうやく)が塗られた跡などが確認され、陶器製だとわかった。壺内の骨についても、細部まで形状が確認され、今後どの部位の骨か特定できる可能性があるという。
性空上人坐像は4月12日から京都国立博物館での特別展に出展され、3次元データをもとに3Dプリンターで製作された壺の模型も展示される。