京都市京セラ美術館で開催中の「兵馬俑と古代中国~秦漢文明の遺産~」(産経新聞社など主催)。注目の展示品を5回にわたって紹介します。第1回は「戦服将軍俑」です。
戦服将軍俑
像高196センチの長身。兵馬俑(へいばよう)は彩色されていたとされるが、この像にも右の頰(ほほ)や耳に白地に肌色を重ね塗りした跡が見える。
「将軍」という通り名で呼ばれるものの、実際は高級武官の姿を写したものといわれている。それは、鶡冠(かつかん)というふたつに分かれた独特の形の冠でわかる。
鶡はキジ科のヤマドリのこと。気が強く、攻撃されると勇猛に反撃に出ることから、武人の冠に用いられるようになった。
「将軍俑」はこれまで11体が出土しているが、軍服に鎧(よろい)を着用しているものと着用していないものの2種類がある。こちらは、着用していない方で、その分、ベルトと楽器の琵琶のような形の帯鉤(たいこう)がわかる。
指を丸めた右手は、剣を持っている様子を示しているとされ、だらりと自然にさげた左手とは対照的だ。(正木利和)
開催概要
日中国交正常化50周年記念 兵馬俑と古代中国~秦漢文明の遺産~
会期:2022年5月22日(日)まで
会場:京都市京セラ美術館 本館北回廊2階(京都市左京区岡崎円勝寺町124)
公式ホームページ:https://heibayou2022-23.jp/
公式Twitter:@heibayou2022_23