ウクライナ戦争で夢想を語る人たちと“岸田検討使内閣”の誤り

この激変する国際環境の中で、現在の岸田政権はどうだろうか。ウクライナのゼレンスキー大統領が国会での演説で評価したように、ロシアへの経済制裁について日本は欧米と歩調を合わせたのが早かったグループにあった。ただし経済制裁の中身は、より慎重な姿勢である。

石油・天然ガス開発事業「サハリン1」の洋上施設(エクソンネフテガス提供・共同)
石油・天然ガス開発事業「サハリン1」の洋上施設(エクソンネフテガス提供・共同)

ロシア中央銀行の対外資産凍結や、最恵国待遇の停止、国際決済ネットワーク「国際銀行間通信協会(SWIFT)」からのロシアの一部銀行の排除などは行った。また北方領土へのロシア違法占拠解決を含む平和条約締結交渉は棚上げの方針である。

日本は天然ガス・石油事業「サハリン1」「サハリン2」からは撤退していない点では、微温的だろう。もっとも天然ガスなどの資源をめぐる制裁に慎重なのは、欧州勢も同様である。そこにロシアへの経済制裁の限界も見えてくる。

今後もブチャ虐殺事件の全容が明らかになり、また同様の悲惨な出来事がわかった段階で、日本も西側社会もより踏み込んだ制裁を行う可能性が出てくるだろう。その時は、いま以上に日本の国民生活にも犠牲が求められるだろう。

出邸する岸田文雄首相(矢島康弘撮影)

だが、岸田政権には現状でさえ、国民生活の犠牲を解消する積極的意欲に欠ける。常に岸田首相は積極的な経済政策について「検討する」を繰り返し、むしろ雇用保険の負担増など事実上の「増税」には積極的である。

つまり岸田首相は「令和の検討使」であり、また「増税」志向である財務省管理内閣の代表者でしかない。そのことが典型的なのは、ガソリンや電気、ガス代の高騰に対して、大規模な補正予算ではなく、予備費を活用した数兆円規模の経済対策を求める姿勢だ。

いまこそ30、40兆円規模の補正予算で、国民の生活を支えること、それが大きな枠組みでいえば、ロシアや中国のような権威主義国家に抗する国際秩序を維持し、発展させるための前提ともいえるだろう。

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