ロシアのウクライナ侵攻に絡み、欧州連合(EU)各国がロシアの外交官ら300人近くを国外追放した。ウクライナ当局がロシアの諜報機関、連邦保安局(FSB)の「欧州で活動する工作員」とする620人の実名リストを公表したことの関連も指摘される。日本も8日、在日ロシア大使館とロシア通商代表部の職員計8人の国外退去を決めた。西側諸国の「スパイ狩り」で、プーチン政権の諜報網がズタズタになりそうだ。
ウクライナ国防省情報総局がネット上で3月28日に公表したのは、「欧州の侵略国の犯罪活動に関与したFSB職員」と題したリスト。620人の氏名や生年月日、旅券情報のほか、無料通話ソフト「スカイプ」のアドレスなども記載されている。
アドレスの中には、英スパイ映画「007」シリーズの主人公、ジェームズ・ボンドやその愛用車「アストンマーティンDB9」をほうふつさせるものもあった。
すると翌29日、ベルギーやオランダ、アイルランド、チェコは、スパイ行為に関与した疑いがあるとして、ロシアの外交官を含む在外公館職員計43人の国外追放を発表した。
ドイツとフランスの外務省も、自国に駐在する多数のロシア外交官らの追放を決めた。フランスは「安全保障に反する活動を行った」ことを理由に掲げる。
リスト公表前にもエストニア、ラトビア、リトアニアのバルト3国がロシア外交官ら計10人を、ポーランドは大使館勤務の人員の約半数にあたるロシア外交官ら45人を追放している。