これまで徹底した「アンチデジタル」の姿勢をとってきたジャニーズ事務所。しかし21世紀以降、その経営戦略に変化が生じている。この連載では、稀代のエンターテインメント企業であるジャニーズが「インターネット」というメディアにどう向き合ってきたのかを中心に、ここ数年の変遷を分析していく。
ジャニーズの「ファンクラブ」の受付がネット上に移行したのは、2016年の7月のことである。まさしくSMAP解散騒動の渦中でのシステム変更であり、この二つの出来事におそらく関連はないが、ジャニーズという古参の芸能事務所にも「時代の移り変わり」が波及しはじめたことを感じさせる出来事ではあった。
現在、「ジャニーズ・ファミリー・クラブ」として運営されているこのサイト、現状すでにクレジット・カードでの支払いにも対応するようになっており、指定のアドレスに空メールを送り、返信に記載されているURLから登録フォームに飛んで登録・支払いを済ませると、即日で会員番号が送られてくる、というシステムになっている。
ちなみに遅まきながら、筆者も先日Snow Manのファンクラブに入会した。以前の「郵送振込用紙」システムと違って一瞬で作業が完成し、当たり前のことだが、あらためて驚いた。会員カードが届くまでにはさすがに2〜3週間かかったが、「ファン活動」をはじめる敷居が極端に下がったことは間違いない。
2016年の時点で、コンサートのチケットの「紙」から「電子化」への移行も実験的に導入されている。「電子化」以前の話になるが、コンサート・チケットの「インターネットでの販売受付」は、どうやら導入のタイミングはグループごとにバラつきがあったようで、もっとも早かったのはおそらく嵐である。
嵐は2011年から、ファンへの告知→特設WEBフォームから申し込み→抽選→当たった人は払込み、というシステムでチケットを販売しており、この手順が導入されたのは「嵐のワクワク学校 〜毎日がもっと輝く5つの授業〜」からだろう。このイベントは東日本大震災への支援を目的にした「震災復興チャリティーイベント」であり、チャリティーという機動性・社会性・透明性・公共性を求められるイベントをきっかけに、ジャニーズはネットでのチケット販売を導入したのである。