新型コロナのため70歳で亡くなり、日本中に衝撃を与えた志村けんさんも1人暮らしでした。症状が出た後の自宅療養で肺炎を悪化させ、呼吸不全で亡くなられました。
孤独死の原因として多い「虚血性心不全」の「虚血」とは、血液が失われる、血管を通して血液が運ばれない状態を言います。冠動脈の血流が悪くなった状態を「狭心症」と言い、冠動脈が完全に詰まり、詰まった先の細胞が死んでしまった状態を「心筋梗塞」と言います。
虚血性心不全には、胸が締め付けられるように痛む、冷や汗が出るなどの自覚症状があります。このとき、自ら救急車を呼び、緊急手術(冠動脈バイパス手術など)をすれば助かる可能性があります。実際、私は過去2度、胸の痛みに襲われ、自ら知己の外科医のもとに駆け込み、手術を受けて助かっています。
1人暮らしでなかったら助かっていた方もいるかもしれません。
年老いて1人暮らしをしている方は、その前に伴侶を亡くすなどして、「喪失感」を抱えています。この喪失感は年をとるほど身に応えます。米マサチューセッツ総合病院で、76年にわたり742人の人生を追跡した調査研究があります。結論は、「家族や友人、共同体と結ばれた人々は、そうでない人々よりもより幸福、健康、長寿である。孤独は寿命を縮める」ということです。