マツダ「CX-60」プロトタイプを極秘試乗 内燃機関にこだわる脱炭素“哲学”

SankeiBiz

内燃機関がクルマ社会を救える可能性を模索

その走り味は、スポーツカーであるかのように爽やかで小気味良い。近い将来のデビューが期待されているフラッグシップスポーツセダンへの搭載が予想される、というほどに走りのフィーリングを高めている。

それは、世界中に蔓延しているEV信仰へのアンチテーゼにも映るし、脱炭素社会への抵抗にも感じる。実際にマツダは、将来的なEV化を否定はしていないものの、それまでの移行期間は決して短くないと予測している。まだ内燃機関がクルマ社会を救える可能性を模索しているのだ。

マツダ「CX-60」プロトタイプ
マツダ「CX-60」プロトタイプ

もちろん誤解なきように付け加えるならば、新開発の直列6気筒エンジンには革新的な燃焼システムを確立。少ない燃料を効率的に燃焼させることでCO2削減に貢献している。しかも、日本車としては稀有な48Vバッテリーモーターを合体させたハイブリッドでもある。

大きくて質量のかさむバッテリーを積んで走ることは、ある意味で環境性能の悪化を招く。ならば、少ない燃料を効率的に燃やし、最小限のバッテリーでアシストする。

マツダ「CX-60」プロトタイプ

大排気量化によって低負荷時の燃焼効率に利点がある。ミッションの多段化によって、燃焼効率の高い回転域での運転が可能になる。つまり、小排気量のエンジンであっても無駄に回して走行するのであれば、燃焼効率の高い大排気量エンジンを低い回転で走らせた方が燃費が良いという考え方なのだ。そしてそれは理にかなっている。

そして加えるならば、大排気量の燃費効率で「苦手」とされている始動直後に対しては、エンジンとミッションに挟まれるように組み込んだ48Vバッテリーモーターのアシストが補う。効率を徹底的に追求したら直列6気筒3.3リッターディーゼルターボ+48Vバッテリーモーターに帰結したのである。

新開発のCX-60のデビューは夏頃に予定されている。公道の走行が許された暁には、マツダの環境理論の正当性が確認できるに違いない。

【クルマ三昧】はレーシングドライバーで自動車評論家の木下隆之さんが、最新のクルマ情報からモータースポーツまでクルマと社会を幅広く考察し、紹介する連載コラムです。更新は原則隔週金曜日。アーカイブはこちら。木下さんがSankeiBizで好評連載中のコラム【試乗スケッチ】こちらからどうぞ。

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