『砂まみれの名将』野村克也に学ぶ逆境の乗り越え方

SankeiBiz

新しい期が始まった。転職・異動、昇進・昇格など、この春で職場や仕事の変化があった人は、もう慣れただろうか?

前回、このコラムでは山崎豊子作品『沈まぬ太陽』を取り上げ、理不尽な人事との向き合い方を考えた。書いてからふと気づいた。自分にとって希望通りの転身だったとしても、周りから栄転・出世に見えるような人事だったとしても、戸惑い、悩みはあるのではないか。

実際、私自身も自ら希望した転職、異動などではいつもギャップ、ミスマッチがあり戸惑った。人生は意図と適応の繰り返しだが、自分が意図したことは、必ずしも楽しいわけではない。

春の変化にどう向き合うか? ぴったりの本がある。『砂まみれの名将』(加藤弘士、新潮社)である。プロ野球選手として活躍したあと、ヤクルト、阪神、楽天などの監督を歴任した野村克也氏にせまったものである。

プロ野球ヤクルトOB戦で挨拶する野村克也氏=2019年7月11日、東京・神宮球場(矢島康弘撮影)
プロ野球ヤクルトOB戦で挨拶する野村克也氏=2019年7月11日、東京・神宮球場(矢島康弘撮影)

「ノムさん」の本はこの世に多数存在する。しかし、この本がオンリーワンの存在だと言えるのは、社会人野球シダックス監督時代に迫ったものだからだ。妻である沙知代氏の脱税容疑での逮捕という不祥事や、成績低迷により阪神の監督を辞任してから、楽天の監督としてプロ野球に返り咲くまでの期間を描いたものである。タイトルの「砂まみれ」の由来は、シダックスが練習グラウンドとして使用していた東京都調布市の市営グラウンドは、風よけも雨よけもなく、強風が吹くと砂埃で顔面が真っ黒になるほどの環境だったからだ。

野村氏の野球人生において「空白の3年間」と呼ばれるが、それは違う。後にノムさんは「あの頃が一番楽しかったな…」と振り返ったという。「野村再生工場」と呼ばれ、彼は数々のピークがすぎた選手を再生してきたが、この3年間は野村氏の再生のための時間だったのだ。

シダックスの野球部は「寄せ集め集団」だった。プロ野球に進むことができなかった者、野球部が廃部となった他社から移ってきた者が集まっている。これは、シダックスに限った話ではない。都市対抗野球大会優勝や、プロ入りを目指し、熱い日々をおくる。名将と知られた野村氏と向き合い、彼らも変化していく。

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