「4%ルール」だけ信じるのは怖い
桶井さん
厳しい言い方をしますけども、「いくらあればFIREできますか」という質問をする方は、あまりFIREに向いていないのかなと思います。私は1億円と年間配当金120万円でゴールできましたけども、ミニマムな生活であればもっと少ない額でもFIREできるかもしれません。どんな人生を歩まれるかによって人それぞれだと思います。
注目すべきは資産額だけではなく不労所得です。それが株式投資では配当金になります。不労所得があれば、不足分を65歳までは好きなことを仕事にして補ういわゆる「サイドFIRE」ができます。「バリスタFIRE」ですね。好きな仕事をしながら不足分を補って、65歳になったら引退して、公的年金プラス配当金で生きていけます。これが最適解で、最も現実的でないかなと思います。
たぱぞうさん
トリニティ・スタディの「4%ルール」は確かにFIREの一つの目安になるので、提案性としてはとても重要なものだと思います。ただ資産額は非常に変動しますから、4%ルールを信じ、それだけでやっていくというのは、僕は怖くてできなかったですね。
私がFIREに至ったのは株式が1億円分あるからとか、そういう動機付けではなく、レバレッジを効かせて太陽光を1億円買ったんです。それで年間の発電額を見てみたら1000万円ちょっと行くんです。頭金も入れていますので、もし残債を一掃したら1000万円の収入が20年間続くんですね。このような見通しを立てて、それならばFIREしてもいいよね、と判断してFIREを実現しました。
FIREをする人は、どこかでハードアセット(有形資産)を絡めると、見える世界は全然違ってくると実感しています。築古の戸建てを3軒くらい買って家賃5万円ずつ、月に15万円の収入を得るということでもいいですし、ブログを開設して広告収入を得るとか、安定したインカムを得るためのいろんな方法があると思います。
資産を増やすことに努力すると同時に、このような副業的な収入があると、プラスの意味での変数になります。
資産5000万円築く人、あるいはご家族がいて資産1億円を築く人というのは、何らかの能力を持っている人が多いように思います。私の投資の学習会の友人でもともと絵を描いていた人がいますが、手先が器用でセンスが突出しています。やはり絵を描かれるので、色彩感覚や空間認知が優れているんですね。不動産投資を突き詰める中でリフォームを仕事としてやったらものすごくはやって、今や月収100万円を超えています。
いろんな人と話す中で、思いもかけない自分の能力に気づく可能性はありますよね。1億円の資産を築く人というのは、何らかの能力があるんですよね。だから、自分を信じるということが大事だと思います。
桶井さん
はい。自分はどんな人生を歩みたいのかという人生設計。そのためにはお金がいくら必要なのかという資産計画。それによって、将来的な資産額の目標、年間配当金の目標などゴールベースで投資や資産形成を考えるべきだと思います。
《4月6日掲載予定の5回目では、FIRE達成後の生活について語ってもらった》
普通の会社員が47歳で貯蓄1億円に…経済的自立を目指す「FIRE」達成の極意
この5回の対談のなかで具体的な銘柄および各種投資法に言及していますが、投資に関するあらゆる意思決定、最終判断はご自身の責任において行われますようお願いいたします。ご自身の資産運用などにおいて損害が発生した場合、SankeiBiz編集部並びに対談に登場するたぱぞう、桶井道の両氏は一切の責任を負いかねますのでご了承ください