大手ゼネコン竹中工務店(大阪市)の業務の再委託先である設計会社を解雇されたと主張する40代男性が、雇用や派遣の契約がないのに竹中工務店の指示で働く「偽装請負」があったとして、同社に雇用関係の地位確認などを求めた訴訟の判決が30日、大阪地裁であり、中山誠一裁判長は雇用義務がなかったとして、男性側の請求を棄却した。男性側は控訴する方針。
平成27年施行の改正労働者派遣法は偽装請負があった場合、委託元が委託先の従業員に直接雇用を申し込んだとみなす制度を導入。訴訟では竹中工務店と直接の契約関係がない、再委託先の従業員にも適用されるかが争点だった。判決は二重派遣の就労形態を「違法」と認定したが、こうした派遣形態は「制度の対象には当たらない」と判断した。
会見した原告側代理人の村田浩治弁護士は「労働者救済のためにつくられた制度なのに、それを念頭に置かない極めて形式的な判断だ」と判決を非難した。
判決によると、男性は令和元年8~9月の2カ月間、竹中工務店の指示で施工図の作成業務に従事し、同年10月に設計会社を辞めた。男性の申告を受けた大阪労働局は同年11月、職業安定法に違反するとして竹中工務店に是正指導した。