松野博一官房長官は30日午後の記者会見で、令和5年度から使用される高校教科書の検定結果をめぐり、韓国外務省が29日に在韓日本大使館の熊谷直樹総括公使を呼び抗議したことに反論したと明らかにした。
松野氏は、韓国側から「竹島問題、旧朝鮮半島出身労働者問題、および慰安婦問題」などについて抗議があったと説明した上で、「日本の一貫した立場に基づき、抗議は受け入れられない」と強調した。
同時に「わが国の将来を担う子供たちが自国の領土や歴史について正しく理解することは、主権国家における公教育で当然のことだ」と主張した。
今回合格した「地理探究」「政治・経済」の全教科書で、韓国が不法占拠する竹島(島根県隠岐の島町)について「固有の領土」と表記された。
一方、政府は昨年4月、「従軍慰安婦」という用語は「誤解を招く恐れがある」として、単に「慰安婦」とするのが適切だと閣議決定した。同時に、先の大戦中に行われた朝鮮半島から日本本土への労働者動員に関して「強制連行」などの表現を用いることも不適切とした。
今回の教科書では、新たな政府見解を踏まえた記述が増えていた。