先日、某バラエティ番組で、興味深い企画を放映していた。「追跡・真冬にオープンカーをドライブする人」─。たしかそんなタイトルだったと記憶している。「ラーメン屋の行列に並ぶ人」「犬を乳母車で散歩させる人」などの企画と並ぶ。つまり、世の中のちょっと変わった行動をとる人達に直接インタビューするという、やや悪意を込めた企画だった。カッコつけたいから冬にオープンにしているのだと発言する芸人もいた。
オープンカーを所有する立場からしても、たしかに真冬にオープンカーをドライブすることが奇異に映るのは承知している。だからこそ、この企画が成立する。
オープンカーから想像するのは青い空、照りつける太陽、たなびく風、海、サーフィン、椰子の木…。そんな楽天的な光景とイメージが重なるのだから、それも道理だ。だがそれはまったくの誤解であり、曲がった先入観でもある。
やや大袈裟に言えば、「オープンカーのベストシーズンは冬である」。その番組でインタビューされていたオープンカーオーナーが異口同音に口にしていたのがそれだ。
冬の乾いた空気は肌に心地良く、空気が澄んでいる。冬の冷気が頭を冷やしてくれる。オープンカーの暖房機能が充実している。シートヒーターはもちろんのこと、ステアリングにも熱線が組み込まれている。BMW440iカブリオレやレクサスLCコンバーチブル等には、首回りに温風をそそぐ機能も備えている。そもそも屋根を開け放っていても風の巻き込みが少ないように空力デザインがなされている。頭寒足熱。冬の露天風呂が気持ち良いのと同様なのである。