どのような発言や投稿内容が侮辱罪に該当するのか。高橋氏は「『バカ』や『死ね』など、裏付けもなく人格や人柄を貶める発言は侮辱に当たるだろう。ただ、『バカ』という言葉も前後の文脈などケース・バイ・ケースなので、警察に相談しても必ず立件されるわけではなく、厳密な線引きは難しい」との見解を示す。
厳罰化は表現の自由を萎縮させるとの声もあるが、高橋氏は「相手の行動や意見を批判し、『能力がない』などと表現することが必ず侮辱に当たるとはかぎらない。一方、『デブ』など事実を確認できるものは名誉毀損(きそん)罪(3年以下の懲役・禁錮または50万円以下の罰金)に該当することもある」と指摘する。
匿名で行われることが多いネット上の中傷について、投稿者の特定を簡略化する下地も整いつつある。今年秋までに施行予定の「改正プロバイダー責任制限法」では、1度の申し立てで裁判所が投稿者の情報を開示するかどうかを判断し、運営事業者や接続事業者に命令を出せる新たな裁判手続きが創設される。
いずれにせよ、人を傷つける発言は安易に行わないことが賢明だ。