津波と寒さ対策急務 日本海溝・千島海溝地震、防災意識も課題

産経ニュース

政府の中央防災会議作業部会が22日に公表した日本海溝と千島海溝で想定される巨大地震での対策。北海道から千葉県にかけての太平洋沿岸で大津波が想定され、冬の深夜に発生すれば、被害が最大化する。自治体は津波からの避難対策や、寒冷地特有の課題に取り組むことが求められる。

日本海溝・千島海溝地震の被害は、積雪のある冬の深夜に発生した場合、避難の遅れなどから、死者は最大19万9千人、そのほとんどが津波によると推定。津波から逃れても、低体温症による多数の死者が出ると予想している。

最大約28メートルの津波が発生するとされる北海道えりも町。津波から緊急的に逃れる「指定緊急避難場所」と、長期的に避難生活を送る「指定避難所」との間に浸水する恐れのある場所があるという。避難者が緊急避難場所に取り残される可能性もあり、町の担当者は「寒さに耐えられないところもあるだろう」と、防寒対策を課題に挙げる。

町では今月2日、地元警察と協力し、冬の深夜に地震が発生したと想定した避難訓練を実施。雪が残り、徒歩で逃げる人は少なく、避難場所の駐車場が混雑するという課題も見えた。

防寒対策に乗り出した自治体もある。吹きさらしの避難タワーが多い中、県想定で最大24メートルの津波が襲うとされる青森県おいらせ町では平成27年、屋根付きの避難タワー「明神山防災タワー」を設置した。

床面の高さは想定浸水深よりも4メートル程度高く設定し、屋内には発電機や毛布、食料などを備蓄。町の担当者は「寒いときに津波が発生しても、風や雪などをよけられるように屋内型にした」と話す。

避難意識の醸成も課題だ。今年1月15日、トンガ沖で発生した大規模な噴火では、国内でも広い範囲で潮位変化を観測、翌16日未明に津波注意報や警報が出された。季節や時間帯は日本海溝・千島海溝地震での最悪想定と重なるが、実際に避難した人は少なかったことが指摘されている。

1・1メートルの潮位上昇を観測した岩手県久慈市では、沿岸の住民3444人に避難指示を出したが、避難したのは最大574人。市消防防災課の田中淳茂課長は、東日本大震災の経験から、「市民の防災意識は高い」とするものの、11年が経過し、「安心しているところもあるかもしれない」と話す。「防災意識の向上に取り組んでいかなければいけない」と話した。

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