ウクライナに対するロシアの侵略―これを暴虐と言わずして、何と表現するのか。
日本の戦後、一貫してソ連(当時)を礼賛してきた左派インテリらは、この事態に対して、どう擁護するのか、意見発表すべきである。
それができるか、できないのか、それによって、その者に対する評価が定まる。
このウクライナ侵略は、日本に多くのことを教えてくれた。それは単なる<対岸の火事>ではない、すなわち、ロシアに由(よ)る北海道への侵攻、あるいは中国に由る尖閣諸島への侵犯、それらが、あり得るということを教えている。
あえて言えば、ロシアのウクライナ侵略から学ぶべきは、では、日本はどうすべきかということである。ウクライナへの精神的、物的支援に終わらず、仮に当事者として、という立場から真剣に考えるべきである。
そこで老生は、議論のきっかけのつもりで提案いたしたい。
それは、以前にこのコラムで述べた意見であったが、政治家の誰ひとりとして関心を持たなかったので、ここで再論する。
本当は、現行法を改めて自衛隊を国軍化すべきであるが、わが国の国会はツベコベ屋が多く議論倒れで、間に合わない。
そこで、自衛隊の、あるいは警察の下部組織として、諸島警備隊を創設する。
日本周辺の孤島的諸島に平均10人を配備すると、総勢は5万人くらいになるだろうか。給与は仮に、月額50万円。装備費・宿舎等(など)は別。安いものではないか。日本の現国力からすれば、できる話である。
諸島警備隊の任務は、第一に国防である。不審者に厳しい対応をし、侵略の前段階において国を守る。
もちろん、核兵器を所有する国もあるが、簡単には使えまい。通常は、海軍、海兵隊、さらには陸軍を相手国領土に侵攻させた上で、軍事力を背景とした政治(外交)の成功を目指す。それができない限り、失敗に終わる。そうした例は山ほどあるではないか。
だから、諸島警備隊が抵抗する限り、敵軍の勝利宣言は困難であろう。
また、あえて言えば、ロシアや中国は、海戦が得意であるとは思えない。勝利した経験はほとんどないではないか。
その点、日本の旧海軍は経験が豊富な上に、士気が高かった。ロシアなど日露戦争の日本海海戦で日本海軍に完敗したではないか。中国は海戦の自信がないので、南シナ海の島々を勝手に軍事基地化して軍港をつくっている。それは、海戦の自信がないからである。
と述べているうちに、ひしひしと感じるのは、日本は他国と地続きではなく海上に独立している地政学的有利さを持っている。この有(あり)難(がた)い幸運に甘えることなく、一層補強してゆくことが、現代日本の今後の国のあるべきありかたであろう。他国の侵略から祖国を守るために。
『国語』周語下に曰(いわ)く、衆心〔協力すれば〕城を成(な)し、衆口〔助けあえば〕金をも鑠(と)かすと。(かじ のぶゆき)