東京電力ホールディングスが18日夜に一時、管内の利用者に節電への協力を呼び掛けた。東電によるこうした対応は、寒波の影響を受けた昨年1月以来約1年2カ月ぶり。今月16日深夜に福島県沖で発生した最大震度6強の地震の影響により東日本で一部の火力発電所の運転停止が続いて供給力が落ちる中、気温低下で暖房需要が増加。夜の電力需給が綱渡りとなった。
16日の地震で、東電や東北電力の管内では複数の火力発電所が停止。一部は運転を再開したが、復旧が遅れている設備もあり、東日本で電力の供給力が低下した。18日は悪天候により太陽光発電の出力が低下したため、蓄電池の役割を担う揚水式水力発電の稼働が昼間に増えたことも、結果として夜の供給力に響いた。
一方、18日は関東各地で気温が低くなり、暖房需要が増加。東電の送配電子会社、東京電力パワーグリッド(PG)は電力の安定供給維持のため18日夕方から他の電力会社による電力融通を受けたが、需給は改善せず、東電管内では電力の供給力に占める需要の割合を示す使用率が18日午後9時台に98%に達すると想定されたため、急遽(きゅうきょ)利用者に節電への協力を呼び掛ける事態となった。使用率が97%を超えると、需給は「非常に厳しい」とされる。
東電PGによると、18日午後9時台の使用率実績は96%で、想定を下回った。
今回は急場をしのいだとはいえ、東日本で電力の供給力が回復するには時間を要する見込みだ。19日の東電管内の電力需給は安定的に推移したが、東日本で供給力が万全でない中で再び悪天候や気温低下に見舞われれば、また急に需給状況が厳しくなりかねない。
東電PGは、引き続き日常生活に支障のない範囲での効率的な電気の使用への協力を呼び掛けている。(森田晶宏)