川島氏によると、千鳥式運転とは、千鳥が地上を歩くとき、急に走り出し、急にゆっくりあるくことに由来する。阪神電鉄が大正初期の急行の運転開始前に、全区間をABCDの4つの区間に分けてA区間の各駅は停車、B区間の各駅は通過といったように停車パターンを分けたとされる。一方、酔っぱらいの千鳥足のように種別によって主要駅に停車したり、通過したりする方式を指して、改めて川島氏が「千鳥式運転」と名付けたのだという。
快速急行は通過するのに特急は停車という駅も
京阪電気鉄道と阪急電鉄では、1駅でも停車駅が異なる場合に列車種別を区分。京阪はかつて、普通、区間急行、準急、通勤準急、急行、深夜急行、快速急行、通勤快速急行、特急、ライナー、快速特急と11種類もあったという。「ありすぎて逆にわかりにくい」(川島氏)ということで、現在はライナーと特急の停車駅は同じになったが、「それでも多すぎる」(同)状況だ。一方、阪急京都線では、快速特急A、快速特急、特急、通勤特急、快速急行、快速、準急、普通の8種類の種別があるものの、急行はない。
逆転現象は駅の構造が原因で生じることも。直通特急や特急が停車する阪神電鉄の御影駅(神戸市東灘区)は、急カーブ区間にプラットホームがあるため、車両の長さなどの関係で近鉄奈良線との直通列車である快速急行が通過するようになっている。
これに対し、小田急電鉄小田原線の成城学園前駅(東京都世田谷区)は一般列車の快速急行は通過する駅にもかかわらず、東京メトロ千代田線に直通する有料の特急ロマンスカー「メトロはこね」「メトロモーニングウェイ」「メトロえのしま」号などが停車するという逆転現象も起きている。
京王電鉄のダイヤ改正で発生した特急と急行の逆転現象。意外にも全国に似たようなケースは複数あるようだ。通勤や通学などで毎日利用している地元民にとっては、当たり前の光景なのかもしれない。とはいえ、慣れない利用者にとっては紛らわしいのも事実。京王電鉄は「お客さまにスムーズにご乗車いただけるように、車掌による車内アナウンスを通じて停車駅の情報提供に努めたい」としている。