【ワシントン=塩原永久】米商務省は18日、ウクライナ侵攻をめぐるロシアへの制裁を破り、同国に入った多数の航空機を確認したと発表した。問題となったロシア新興財閥(オリガルヒ)のアブラモビッチ氏の自家用機など計100機を公表。これらに給油や部品供給、整備などの便益を提供した第三国の法人などは制裁違反に該当し、処罰対象になると警告した。
中国が対露支援に回る懸念がある中、今回の発表は米政府としてロシアと親密な国々を牽制(けんせい)する意図もありそうだ。
米国は侵攻を受けてロシア制裁を決定。半導体や航空機などのハイテク分野で対露輸出規制を発動した。米国の技術が組み込まれた部品や製品も対象となる。ロシアを支援するベラルーシにも制裁を科した。
同省が制裁違反で公表したリストには、サッカー・英プレミアリーグの強豪チェルシーのオーナーでもあるアブラモビッチ氏が所有する米ガルフストリーム社製のプライベートジェット機や、アエロフロート・ロシア航空をはじめとするロシア旅客・貨物大手が所有、運航する米ボーイング社製などの機体が含まれた。
レモンド米商務長官は声明で、「ロシアとベラルーシの企業やオリガルヒが米国の法律を逃れて渡航することを許さない」とした。
ロイター通信によると、ボーイングはロシアへの部品や整備の提供などを停止した。ロシアが侵略を続けているため、米欧や日本などが、ロシアのプーチン大統領やオリガルヒを標的とする制裁を強化している。