宮城県や福島県で最大震度6強を観測した16日深夜の地震。沿岸部では、11年前の東日本大震災だけではなく、昨年2月の福島沖地震で被災した神社が再び被害に見舞われた。3度の被災に落胆しながらも「氏子のために」と再建を誓い、前を向いた。
「東日本大震災よりも強く、立っていられないほどの縦揺れで、(境内から)ドーンと音がした」
震度6強を観測した福島県南相馬市鹿島区にある鹿島御子(みこ)神社で、宮司を務める森昭文さん(76)は、地震が起きた瞬間をそう振り返った。
同神社では、入り口付近にある建物の屋根が外れ、鳥居は東日本大震災で割れたため金具でつけていたが、今回の地震で再び落下し、砕けてしまった。境内のこま犬も台座から落ち、参道の左右に設置された大きな灯籠も倒れて崩れるなど、大きな被害が出た。
東日本大震災と昨年2月の福島沖地震でも被災した同神社。修繕を重ねてきた中で3回目の地震が再び襲い掛かった。落胆は大きく、森さんは「心が落ち着いてからではないと何も考えられない」と肩を落とした。
同じく震度6強を観測した相馬市の相馬中村神社も大きな被害を受けた。同神社の本殿などは1643年の建立で、国の重要文化財に指定され、国の重要無形民俗文化財「相馬野馬追」の出陣式も行われる。
本殿に続く階段の前にある鳥居は落ちて割れ、奉賛者が記された札を並べた看板には落下した鳥居が直撃したとみられ、周囲に札が散乱した。本殿の被害は軽微とみられるが、一部の扉は地震の衝撃で開き、賽銭(さいせん)箱も吹き飛んでいたという。
「ここまでとは思わなかった」
地震から一夜明けて道路状況が確認できるようになった17日早朝、南相馬市から神社に駆け付けた宮司の森拓樹さん(43)は被害に言葉を失ったという。
同神社も昨年2月の福島沖地震で被災。鳥居にひびが入るなどの被害を受け、氏子の寄付やクラウドファンディングを通じて資金を集め、修繕していた。
再びの被害に「振り出しに戻るような感じでどうしたらいいんだろう」と肩を落としながらも、「氏子の心のよりどころとしてある神社なので、いち早く復旧しなければいけない」と再建を誓った。(宮野佳幸)