長崎市で被爆した大阪市と神戸市の男性が、原爆症と認めなかった国の処分の取り消しや計600万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、大阪高裁は18日、原告側の控訴を棄却した。本多久美子裁判長は、飲酒や喫煙歴などを理由に請求を退けた1審大阪地裁判決を追認した。
弁護団によると、全国7地裁に起こされた原爆症認定をめぐる集団訴訟で、係争中はこの2人のみ。判決後に大阪市で記者会見した藤原精吾弁護団長は「期待を完全に裏切る判決だった。終わりにはできない」と述べ、上告する意向を示した。
会見で原告の小川英昭さん(79)=大阪市=は、心筋梗塞での入退院を長年繰り返しているとして「放射線が影響していると確信している」と訴えた。神戸市の男性は提訴後に死亡し、遺族が訴訟を引き継いだ。
判決によると、2人は昭和20年8月に長崎市内で被爆した。被爆の影響でがんや心筋梗塞になったと主張したが、飲酒や喫煙などが原因となった可能性も否定できないとした。