「世界よ、真実をみて」キエフに残る邦人、動画で発信

産経ニュース
オンライン取材に応じるキエフ在住の高垣典哉さん
オンライン取材に応じるキエフ在住の高垣典哉さん

ロシアのウクライナ侵攻から17日で3週間。市民らが懸命に防衛準備を進める首都キエフで、張り詰めた街の様子を動画で発信し続ける日本人男性がいる。ロシア軍の攻撃は病院や住宅、避難ルートにもおよび、民間人の犠牲者は増え続けている。こんなことが許されていいのか―。恐怖を感じながらも15年近く暮らすキエフにとどまり、「真実を伝えたい」と決意を込める。(前原彩希)

「12日頃からまた砲撃が激しくなった。早朝には近くで爆撃があった」。産経新聞のオンライン取材に応じたのは、キエフ市内のマンションで生活する自営業、高垣典哉(ふみや)さん(56)。ウクライナ人の妻(30)と長男(7)、次男(2)はキエフから50キロ離れた都市に避難したが、自身は1人で自宅に残る。

工作員とウクライナ兵の交戦で壊れたという車(高垣さん提供)
工作員とウクライナ兵の交戦で壊れたという車(高垣さん提供)

銃撃戦の弾痕が残る車、バリケードが築かれた道路、破壊された建物…。動画投稿サイト「ユーチューブ」にアップする動画には、戦場化するキエフの生々しい姿が映し出されている。

戦禍で多大な影響を受ける市民の暮らしにクローズアップした動画も多い。外出禁止令が出されていない時間帯に街を歩き、スーパーマーケットでレジ待ちの行列や陳列されている商品を日本語で紹介。戦火を逃れ、やむを得ず西部に避難する市民の様子も流した。

今のキエフの置かれた惨状を知ってほしい-。そんな思いを込め、チャンネル名を「ウクライナ情報局」と命名。投稿した動画はロシアによる侵攻が始まってから、これまで90本以上に及ぶ。いずれも10秒から30分程度だが、ライブ配信だと1時間を超えることもある。

最近では「午前5時に砲撃があり、大きな音で目が覚めた。1時間半くらいたった今でも煙のにおいがする」と、現地の緊迫した状況を配信した。

動画を投稿し続けるのは、SNSのフェイスブックに日本人が書き込んだ「ロシア軍は正義だ」という意見を目にしたからだ。正しいことが伝わっていない、と強い衝撃を受けた。ユーチューブで現状を伝えることで「民間人が本当にロシア軍にやられているという事実を、少しでもわかってほしい」と話す。

ただ、ロシア軍によるキエフへの包囲網が狭まり、軍事的緊張が高まるにつれ、動画撮影は困難になりつつあるのが現状だ。機密情報には配慮しているが、ロシア側の工作員と疑われ、市民から撮影中に注意されたり、警察官にデータを削除されたりするようになった。

戦時下の生活も次第に追い詰められつつある。電気や水道のライフラインこそ通じているが、市内には厳しい外出禁止令が発令中。ストックしていたカップラーメンなどを食べ、自宅マンションにこもる。

買い出しをするためスーパーマーケットに並ぶ人たち(高垣さん提供)

妻子にはより安全とされる西部に避難するよう強く言っているが、応じない。「妻は病身の父親と離れたくないのだと思う」。毎日SNSでメッセージをやりとりするが、連絡が返ってこないときは心配で眠れない。

外からは砲撃の音や銃撃戦の銃声が響く。それでもキエフにとどまる決意は揺るがない。

ウクライナで事業を始めめ、家庭も築いた。のんびりと素朴な人柄のウクライナ人に幾度も助けられ、仕事仲間にもめぐまれた。

「ロシアにこの戦争をやめさせるほど世論を大きくしたい。ウクライナに骨を埋める覚悟だ」

自分の使命は現状を発信し続けること。強い思いで、カメラに話しかける。

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