【北京=三塚聖平】中国国家衛生健康委員会は15日、中国本土で14日に確認された新型コロナウイルスの新たな市中感染者は、無症状を含めて5154人だったと発表した。中国が無症状感染者数の公表を始めた2020年3月末以降で最多だ。中国では湖北省武漢市で感染拡大が続いた同年2月以来の感染拡大として警戒が高まっている。
東北部の吉林省では、全体の約8割に相当する4067人の感染者が確認された。インターネット上では「吉林が第二の武漢になった」とも指摘される。
同省吉林市の大学では集団感染が発生したが、大学側が感染情報を隠蔽(いんぺい)しようとした疑惑が浮上。香港メディアによると、3月に入ってから発熱などを訴える学生が相次いだが、大学側は適切な隔離措置などを行わなかったとみられている。
当局は15日までに、同大学のトップや吉林市長を解任した。全国人民代表大会(全人代)が5~11日に開かれており、政治的に敏感な時期に混乱が生じることを避けるため、大学と地元当局が隠蔽を図った可能性が指摘される。中国では、感染が拡大すれば地元幹部が責任を問われて処分されるため、地方当局者への圧力が強まっている。