香港の人権状況を監視する英国の人権団体「香港ウオッチ」は14日、香港警察から同団体の活動について香港国家安全維持法(国安法)に違反しているとの警告を受けたと発表した。英紙ガーディアンによると、海外の人権団体が国安法による処罰の対象になったのは初めてとみられる。
香港ウオッチによると、香港警察は同団体の活動について「外国勢力と共謀して国家の安全を脅かしている」と指摘し、国安法に違反していると主張。同団体の最高責任者であるベネディクト・ロジャーズ氏に対して3年の禁錮刑が科される可能性があると警告した。
香港警察は国安法に基づいて同団体のウェブサイトを香港で閲覧できなくする方針も通達したという。
ガーディアンなどによると、香港ウオッチは2017年に創設。香港の人権状況の監視や英国に移住した香港市民の支援などに携わっている。英国統治時代最後の香港総督、クリス・パッテン氏らが同団体の活動を支持しているという。
香港警察の警告を受け、ロジャーズ氏は14日の声明で「英国に拠点を置く人権団体が香港の人権状況を報告しただけで、禁錮刑を科すなどと脅した」と非難。トラス英外相も同日の声明で「自由と民主主義を求める声を押さえつけようとする試みは容認できず、決して成功しないだろう」と香港当局を批判した。(ポーランド南部ジェシュフ 板東和正)