たばこと健康

たばこの広告規制を考える

産経ニュース

今年2月13日にスイスで、たばこの広告規制に関する国民投票が行われ、55・6%の賛成で可決された。青少年の目に触れる可能性のある新聞、インターネット、映画館、看板などで電子たばこを含む、たばこの広告を禁止することになった。スイスには、世界的たばこ企業のブリティッシュ・アメリカン・タバコ(BAT)、フィリップ・モリス・インターナショナル(PMI)、日本たばこ産業(JT)が事業拠点を構えており、これまでは、たばこの広告規制は緩かったという。

そこで、今回は、たばこに関わる広告規制について考える。まずは、表㊤に、その枠組みをまとめてみた。

世界保健機関(WHO)は、たばこの健康や社会に対する有害性に対処するため、2000(平成12)年の総会で、たばこ規制枠組み条約(FCTC)を採択した。日本は4年後の平成16年、同条約を批准し翌年条約は発効した。締約国はFCTC第13条に規定された、たばこの広告・販売促進・スポンサー活動について規制し、たばこ消費を減少させる義務を負う。

日本のたばこ事業は財務省が管轄している。たばこ事業法40条に基づき財務省が定めた「製造たばこに係る広告を行う際の指針」の要点を表㊦に示す。指針では全てのたばこ広告媒体について、対象を成人とし未成年者への露出を防ぐことを求めているが、マナー広告などは指針の対象外としている。

一般社団法人日本たばこ協会(正会員はJT、PMI、BATの3社)が「製造たばこに係る広告、販売促進活動及び包装に関する自主規準」等を定めている。それらの基準内容は、製品広告を行う媒体および広告の内容、販売促進活動、包装、銘柄識別のための造作物などに関わる事項である。たばこ各社はこうした法規制や業界基準に基づき、広告やマーケティング活動に係る方針等を定めており、それらは各社のウェブサイトで公開されている。

映画やテレビ番組、ゲームなどで描写される喫煙シーンも、未成年の視聴者らに影響を及ぼすことが、多くの論文で報告されている。24(2012)年には日本禁煙学会が映画倫理委員会、文部科学大臣、厚生労働大臣あてに要望書を提出した。主な内容は、未成年者および妊婦には喫煙させないこと、喫煙シーンには未成年者や妊婦を同席させないこと、たばこ会社からの援助を受けないこと、喫煙シーンのある場合は成人指定にすること等である。

最近の広告費統計によると、インターネット広告費が放送や新聞雑誌の広告費を上回っており、今後はメタバースのようなサイバー空間での広告掲出や喫煙シーンも考えられる。国境のないサイバー空間での新たな規制の枠組みを検討する必要もありそうだ。

また、若者が喫煙の有害性に関する知識を身につけ、実社会や仮想空間における、たばこ広告や喫煙シーンなどに左右されない合理的判断力を持てるようにする禁煙教育の重要性が増してきている。

(高崎健康福祉大教授 東福寺幾夫)

  1. 薬物所持で逮捕…沢尻エリカの身を滅ぼした「ドラッグとセックス」 ささやかれ続けた疑惑、2009年の契約解除も…

  2. 【許さない 未解決事件のいま】(3)ポツンと一軒家の惨劇 私的懸賞で解決願う長男 茨城高齢夫婦殺害

  3. 中露〝蜜月崩壊〟習主席がプーチン氏見捨てた!? 「ロシアの敗北は時間の問題」中国元大使が発言 インドの浮上で変わる世界の勢力図

  4. 死への虐待、4歳児最後の願い「ママ、お茶が飲みたい」

  5. きっかけはウエディングドレス 入籍1カ月半の元教諭はなぜ新妻を殺害したのか