ロシアによるウクライナ侵攻を受けて、関西経済連合会の松本正義会長(住友電気工業会長)は14日、令和7年に開幕する2025年大阪・関西万博へのロシアの参加について「今の状態が続くなら、受け入れは難しいのではないか」と述べた。万博の運営団体「日本国際博覧会協会」によると、11日時点で同万博への参加を表明している国は87カ国あり、ロシアも含まれている。参加の可否について、政府が早急に議論を進めるべきだとの認識も示した。
松本氏は大阪市内で開いた記者会見で、「(ウクライナ侵攻が)どこまで長期化し、ロシアの体制がどう変わるかにもよるが、今の状況が続くなら、受け入れは難しいという議論になるのでは」と語った。また、7年4月に開幕する万博について「今年、来年が準備の正念場であり、今から動かないとパビリオンも建たない」と指摘、早急に参加の可否の議論を政府が進める必要性を訴えた。
博覧会協会によると、戦争や紛争状態にある国が万博に参加できないといった規定はなく、参加の可否は開催国が決定する。ロシアの万博参加をめぐっては、大阪府の吉村洋文知事も今月2日、「ふさわしくない」と述べ、否定的な考えを示している。
一方、関経連はウクライナ情勢を背景に高騰するエネルギー価格の緩和措置などを政府に求める緊急提言をまとめ、14日、政府・与党に発送したことを発表した。提言では、原子力発電所を再稼働させてエネルギーの安定供給を図ることや、低所得者層への影響を抑えるため、エネルギー代金として充てられる利用券を発行することなどを求めている。
また、提言をまとめた地球環境・エネルギー委員会の古川実委員長(日立造船顧問)はロシア極東サハリンでの石油・天然ガス開発事業「サハリン2」について、「一度権益を手放すと取り戻せない。米国に同調するのではなく、国益を考えて対応すべきだ」と述べた。(井上浩平)