和歌山県が和歌山市内の人工島「和歌山マリーナシティ」に誘致を進めているカジノを含む統合型リゾート施設(IR)で、県は12、13の両日、和歌山市と隣の海南市で、IRの区域整備計画案について県民から広く意見を聞く公聴会を開いた。事前に申し込んだ公述人からは「若者に働く場所を」「ギャンブル依存症対策に懸念がある」などIRに賛否の意見が出た。
和歌山市では13日、和歌山城ホールで公聴会が開かれた。公述人20人が、1人5分の制限時間で意見を述べた。
賛成派の男性は「人口が減る中、商売をしている人は生き残りをかけている。日本型のすばらしいIRをつくり、客が来て経済を回し、収入を有効活用する必要がある」と強調。
別の賛成派の男性は「若者に働く場所と収入をもたらすIRは必要だ。衰退が垣間見える(現状の)マリーナシティではなく、IRを(整備したマリーナシティを)将来の子供のために残したい」と主張した。
一方、反対派の男性は「(IR立地予定地に計画している)国際会議や展示の需要も減少するなど、コロナ禍によって環境は大きく変わっている。現状の変化を踏まえて考え直すべきだ」と発言。
別の反対派の女性は、ギャンブル依存症対策に懸念を示し、「依存症患者を生まないためには、カジノをつくらないことしかない」と訴えた。
このほか、IRとは異なる観光誘致の取り組みを進めるべきだという意見なども出された。
県は今月10日まで実施したパブリックコメント(意見公募)も含め、集めた意見をもとに計画案に反映。県議会の議決などを経て、期限の4月28日までに国へ申請する方針。