ウクライナの徹底抗戦が続くタイミングで、日本で降伏を迫るような発信が出てきたことには、「倫理上も、合理性の観点からも間違い」という。まず、「倫理上」の解説をする。
「事実上、侵略者のロシアを支持、容認することになる。降伏後も確実にロシアの抑圧でウクライナの被害は続く。その責任は『ロシアに折れろ』と呼びかけた人も共有することになる。倫理上、非常にまずい発信だ」
では、「合理的」にはどうか。
「仮に降伏して戦争は終わっても、今度はロシアの支配下での治安の悪化などで、戦闘中をはるかに上回る犠牲者が出る。ウクライナの降伏は、近隣諸国にも計り知れないほどの大打撃だ。ロシアは次にモルドバなどを狙い、同じことを繰り返す。ロシアと同様、好き勝手にやる国が出て、国際秩序は成り立たなくなる。合理的ではない」
前出のゼレンスキー大統領は8日、英議会でのオンライン演説で、「どんな犠牲を払っても自国を守るために決して降伏しない」と語っている。
ダヴィド氏は「確かに、言論の自由はあるだろうが、ウクライナの大統領が決意を示すなか、『ロシアに降伏しろ』という発信は理解できない。ロシアのプロパガンダ(政治宣伝)にはだまされてはならない。ウクライナが敗北すれば民主主義が危機にひんする。いまはロシアを止めるため妥協せず、団結するときだ」と強調した。