東日本大震災は11日、発生から11年となった。大震災の津波に襲われ、16人の死者・行方不明者が出た千葉県旭市では午後2時46分の発生時刻に米本弥一郎市長や遺族ら約20人が黙禱(もくとう)し、昨年建立された慰霊碑に献花した。「若い世代に津波被害を語り継ごう」。市内では被災者の実体験に基づいて作成された紙芝居も上演された。
大震災で旭市には3度に渡って津波が押し寄せた。地震発生から約2時間半後の午後5時20分ごろの「第3波」は最大約7・6メートルの高さとなり、市内に甚大な被害をもたらした。
それから、11年後の午後2時46分。市内に防災無線で黙禱を呼びかけるサイレンが1分間響き渡った。市の追悼式は、今年から行われないが、同市横根の慰霊碑前では遺族らが祈りをささげた。「震災の経験や教訓を後世に伝えていくので、安らかにお休みください」。米本市長は献花を終えるとそう話した。
津波でおいを亡くした赤羽根登美さん(85)も献花した。この11年で親族も亡くなるなどしたという。「私が来ないと(3月11日には)誰も来ない。元気なうちは毎年献花に来たい」
震災を語り継ぐ集いも行われた。同市上永井の飯岡刑部岬展望館ではNPO法人「光と風」が「海へ-東日本大震災を語り継ぐ集い-」を行い、被災者の実体験に基づいて作成された津波を語り継ぐ紙芝居が上演された。紙芝居を見ていたのは、子供2人を含む関係者10人ほどだった。大震災を語り継ぐのはそう簡単ではない。同法人の渡辺義美さん(77)も「(年月が経ち)伝えることが難しくなっていると感じている。それでも、若い世代へ語り継いでいけるよう、できる範囲で取り組みたい」と話していた。
(長橋和之)