東日本大震災11年

静岡県、沿岸27万人に個人単位で避難計画「危機意識と行動力醸成」

産経ニュース

東日本大震災から11日で11年。静岡県内でも南海トラフ巨大地震などで津波被害が想定されるなか、静岡県は令和4年度末までに、同地震での想定死者数を平成25年度時点と比べて8割減とする目標を掲げ、さまざまな対策に取り組んでいる。防潮堤や津波避難タワー建設、避難路整備といったハード面はおおむね順調で、目標達成に向け最後の1年は、住民の危機意識に訴える〝ソフト対策〟に力を入れることにしている。カギは「わたしの避難計画」だ。

「いくらハード面の整備を進めても、肝心なのは住民の意識と行動力。津波は発生から2、3分で避難を開始しなければならない。逃げ始めが遅ければ、間に合わない」。静岡県危機管理部の杉山隆通危機報道官はこう強調する。

県内では、何の対策も講じなければ南海トラフ巨大地震で10万5千人が死亡するとされ、うち9万6千人が津波による死者。県は想定死者数を来年3月までに、この想定から8割減の2万人に引き下げることを目標に掲げている。

11年前は7基しかなかった津波避難タワーは、令和3年度には16・7倍の117基まで増えた。津波避難ビルの指定は508カ所から2・7倍の1352カ所に。浜松市の遠州灘海岸には総延長約17・5キロの防潮堤が完成し、袋井市や吉田町でも防潮堤整備工事が佳境に入っている。こうした対策により、2年3月までに約7割減を達成したと試算された。

ただ、いくら設備を整えても、住民が避難できなければ実際の死者を減らすことはできない。そのために県が力を入れるのが、津波浸水想定区域に住む一人一人に「わたしの避難計画」をつくってもらうことだ。

居住地には地震から何分後に、どのくらいの津波が襲来するのか、避難場所はどこか、実際の情報収集手段や連絡方法はどうするのか-。被害想定を地図に落とし込んだハザードマップなどを確認し、事前に計画を立ててもらうことで、発生時の迅速な避難を促す仕組みだ。

県は4年度中に、津波襲来が想定される沿岸21市町の約27万人に「わたしの避難計画」を配布し、普及に努める。自治体職員らが計画作成方法を指導するワークショップを開催するほか、住民が自力で避難計画を作成できるよう、専用ウェブサイトも立ち上げることにしている。

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