全人代、安定基調 民政に重点 小嶋華津子慶大教授

産経ニュース
慶応大の小嶋華津子教授(本人提供)
慶応大の小嶋華津子教授(本人提供)

今年の中国全人代は「安定」を基調に市場経済化の推進や民生の向上安定に向けた具体的な政策や立法法案に重きが置かれた印象だ。政府活動報告は不動産税導入などに言及せず、「共同富裕」の言葉も頻用されなかったが、民生領域の課題に重点を置いたものだった。

「5・5%程度」のGDP目標は前年より低いが達成の難しい数字。新型コロナウイルス禍や国際情勢の不安定化の影響を考えればぎりぎりの目標だったはずだ。国防費は伸び率が前年比0・3%増えたが、緊張する国際関係を考えると軍拡と呼べるものではない。

地方政府と人民代表大会に関する法改正があったことも重要だ。すでに着手した党中央の政策決定権限の強化、政府から党への権限移譲に続き、党中央の政策を地方や末端社会に貫徹させる統治改革の一環として捉えられる。香港の全人代代表の選出方法で愛国的姿勢を重視する規定を設けたことも注目される。

米国を除く11カ国の環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)への加盟を目指す中国は安定的な国際環境を必要とし、ロシアのウクライナ侵攻で難しい判断を迫られる。中露両国は専制国家とひとくくりにされがちだが戦略的関係に過ぎず、侵攻は主権尊重などの原則を掲げる中国の意に反する。ロシアと同一視してほしくないのが本音だろう。(聞き手 桑村朋)

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