東日本大震災と東京電力福島第1原発事故から11年を迎えた11日、埼玉県飯能市の法光寺は法要を営み、震災で甚大な被害を受けた宮城県名取市の東禅寺から預かった梵鐘(ぼんしょう)を突き、参加者が黙禱(もくとう)をささげた。
東禅寺は、震災に伴う津波で住職夫妻が亡くなり、本堂が損壊した。3つの梵鐘は流され、寺の近くで見つかった。住職の長男で震災後に寺を継いだ三宅俊乗(しゅんじょう)さん(63)と法光寺住職の大野文敬(ぶんけい)さん(62)が大学で同級生だった縁で梵鐘は法光寺に預けられ、平成30年6月に2つが東禅寺に戻り、残る1つは今も法光寺にある。
11日の法要では、大野さんら寺の関係者に加え、近隣住民ら約30人も梵鐘を突き、発生時刻の午後2時46分に合わせて黙禱した。
昨年はオンラインで東禅寺とつないだ合同法要だったが、今年は別々に開催することになり、大野さんは三宅さんから「よろしく頼むよ」との言葉を受けて法要に臨んだ。
大野さんは「皆さんの思いが被災地の方々に届くよう、少しでも役に立てればと思ってやっている。新型コロナウイルスで苦しんでいる人もいるが、みんなで力を合わせていかなくては」と言葉に力を込めた。(兼松康)