松野博一官房長官は10日の記者会見で、ロシアが、不法占拠する北方領土などに進出する国内外企業を税制優遇する法案を成立させたことを受け、外交ルートで抗議したと明らかにした。「北方四島に関する日本の立場と相いれない。遺憾であり、改めてわが国の立場を申し入れた」と述べた。
プーチン大統領は9日、クリール諸島(北方領土と千島列島の露側呼称)に進出する国内外企業への課税を原則20年間免除する法案に署名、法案は成立した。
日本は北方領土での共同経済活動を目指すとした日露合意に反するとして抗議しており、松野氏は「首脳間合意に基づき、日露間で議論してきた共同経済活動の趣旨と相いれない。累次申し入れをしてきている中で制度の導入に踏み切った」と厳しく批判した。
同法は北方領土をロシア主導で事実上の経済特区とするもので、実効支配強化が懸念される。昨年7月、ミシュスチン首相が訪問先の択捉島で表明し、プーチン氏も支持した。