ロシアのウクライナ侵攻が自社の経営に悪影響を及ぼすと考える関西企業の割合が65・0%と、全国の企業における割合(61・0%)をわずかに上回ったことが、民間調査会社「帝国データバンク」の調査で分かった。特に大企業の懸念の声が強く、関西は74・3%と全国の57・3%を大きく超えた。関西では、ロシアやウクライナの現地企業と直接取引する製造業大手が多く、打撃を受けやすいためとの見方が出ている。
調査は2月25~28日にアンケート形式で実施され、関西では254社、全国では1437社から有効回答を得た。それによると、ウクライナ情勢が経営に「マイナスの影響がある」「ややマイナスの影響がある」と答えた割合は、関西が全国を4ポイント上回った。
企業の規模別では、関西の大企業の割合が全国を17ポイント上回った。業種別では、製造業が関西66・6%、全国62・3%と、やはり関西が多かった。帝国データバンクの担当者は「関西では現地と直接取引をしている製造業の大企業が多く、このような結果につながったのでは」と推測する。
実際、関西の製造業大手からは調査に対し、「(ロシアへの)経済制裁発動にともないアルミ製品などロシア産品の入手が困難になる」「鋼材需要が高まれば(現地の)鉄鋼メーカーからの供給面でマイナスの影響がある」などの声が寄せられた。
製造業以外も、サービス業が関西55・9%、全国54・0%、運輸・倉庫業が関西81・3%、全国76・9%-などとなった。
大阪府の運輸・倉庫業の企業は「レアアース、レアメタルなどの取引規制により、半導体などに供給不足が見込まれ、商品流通に支障が生じる」と指摘。滋賀県の同業企業は「燃料高騰による影響がある」との懸念を示した。ほかの業種からも「穀物価格、原油価格が上昇することにより、原材料価格の値上げが予想される」(大阪府の飲食料品小売り企業)といった声が上がった。
ロシアによるウクライナ侵攻は2月24日に始まり、現在も停戦には至っていない。日米欧によるロシアへの厳しい経済制裁を通じ、ロシアの主要輸出産品である原油や天然ガス、非鉄金属、小麦などの供給不足に対する懸念が高まり、これらの国際市場での価格が急騰している。(黒川信雄)