ウクライナ侵攻で希少資源の調達懸念 半導体や自動車に影響も

産経ニュース

ロシアによるウクライナへの軍事侵攻が続く中、主要産出国の両国への依存度が高いネオンやパラジウムといった希少資源の調達懸念が一段と強まっている。

ネオンは半導体製造に欠かせず、パラジウムは自動車の排ガス対策に使われている。工場の停止や物流の混乱で供給が途絶えれば、世界的に不足している半導体の調達や自動車生産に影響がおよび、業績を下押しする恐れがあり、関係各社はウクライナ危機のリスクに神経をとがらせている。

ウクライナは、ネオンの世界生産の約7割を占めており、市場への影響は大きい。半導体の製造ではステッパーと呼ぶ露光装置を使い、ネオンガスなどを原料に発生させたレーザー光を半導体材料に当て、回路パターンを転写する。米調査会社のテックセットによると、米国では半導体製造用ネオンの9割超がウクライナ産という。

高いシェアの背景には、旧ソ連時代にレーザー兵器開発で多額の投資を行った経緯がある。ウクライナはネオンとともに「レアガス(希ガス)」と呼ばれ、やはり半導体製造に使うアルゴンやクリプトン、キセノンの供給国でもある。

しかし、ロシア軍の侵攻で南部のオデッサにあるネオンの精製工場は停止。港も閉鎖されており、供給は止まっているもようだ。

国内半導体大手のルネサスエレクトロニクスによると、ネオンは数カ月分の在庫を確保しており、半導体生産への影響は「現時点ではない」という。ただ、事態の先行きが見えないウクライナの緊迫した情勢を踏まえ、「今後どうなるかは分からない」と調達への不安はぬぐえない。

一方、ロシアはパラジウム生産で約4割のシェアを握る。パラジウムは「白金族」と呼ばれるレアメタル(希少金属)で、大半が自動車の排ガスから有害物質を取り除く触媒の原料に活用されているほか、一部は半導体のめっきにも使われている。

パラジウムは、ニッケル鉱山で副産物として採掘されることが多く、丸紅経済研究所によるとロシアは2019年の輸出シェアがパラジウム、ニッケル(塊)ともに21%で首位だった。

物流の混乱に加え、欧米・日本の経済制裁に対するロシアの報復措置による供給減への警戒もあり、パラジウムのニューヨーク先物価格は7日、昨年5月につけた取引時間中の最高値を約10カ月ぶりに更新。原油や天然ガスといったエネルギー資源と同様に価格上昇リスクが顕在化している。今後、ネオンやパラジウムの供給不安が長引けば、調達コストの増加が半導体を搭載するさまざまな製品の価格に影響する可能性もある。

萩生田光一経済産業相は8日の閣議後会見で、パラジウムなどの希少資源について「一定の在庫を有し、他の国からも調達可能」と指摘する一方、「産業界の声を丁寧に聞きながら、常に先回りして大事を取っていきたい」と動向を注視する考えを示した。

(井田通人)

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