【ニューヨーク=平田雄介】国連のグテレス事務総長は6日、ロシアが侵攻したウクライナ東部の港湾都市マリウポリなど3都市で特に「民間人が危険にさらされている」と述べ、紛争地から安全に民間人を避難させるために「戦闘の一時停止が絶対に必要だ」と呼びかけた。国連によると、現地時間5日深夜までの民間人の死傷者数は1123人。病院や診療所を狙った攻撃も起きているという。
マリウポリでは5日、ロシアが一時停戦を発表したが、その後も2日間にわたって攻撃が続いた。赤十字国際委員会(ICRC)は「安全を確保できず、6日も退避に失敗した」と発表した。現地で活動するICRCスタッフは「状況は壊滅的で、住民はますます絶望的になっている」とツイッターで訴えた。
ICRCによると、マリウポリ脱出を目指す民間人は20万人。グテレス氏はウクライナ東部の要衝ハリコフ、東北部スミを合わせた3都市について「特に危険だ」と訴えた。また、ウクライナに到着し始めている国連の人道支援物資を届けるためにも「戦闘停止が欠かせない」と強調した。
国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)によると民間人の被害は、死者が子供25人を含む364人。負傷者が759人。激戦地での確認に時間がかかり、実際の死傷者はさらに増える見込み。また、世界保健機関(WHO)によると、3日までに、医療従事者6人が死亡、11人が負傷した。
民間人の多くは、重砲や多連装ロケットシステムによる砲撃、ミサイルや空爆など影響範囲の広い爆発性兵器で攻撃されたという。