性能上の最高時速が20キロ以下の電動キックボードで運転免許証を不要とすることなどを盛り込んだ道路交通法の改正案が4日、閣議決定された。特定の条件下でシステムが無人の車を操作する「レベル4」相当の自動運転移動サービスの実現に向け、事業者の許可制も設ける。改正案は今国会に提出され、成立すれば、電動キックボードの規定は公布から2年以内、自動運転関連は1年以内を目途に施行される。
電動キックボードの改正案では、最高時速が自転車と同程度の20キロ以下の電動キックボードを「特定小型原動機付自転車」と新たに分類。自転車と同様の交通ルールを求め、運転免許は不要となる。ただ、16歳未満の運転は禁止され、ナンバープレートの装着や自賠責保険の加入も必要となるという。
新分類に伴い、ナンバープレートは、車両とは別の様式で設置される予定。通行は原則車道だが、自転車専用通行帯なども可能。最高時速を6キロまでに制限するなどの条件を満たすと歩道での走行もできる。
一方、販売やシェアリングの事業者に対し、交通安全教育を行う努力義務を課す。交通反則切符(青切符)や放置違反金制度の対象になり、悪質な違反行為を繰り返す場合は講習が命じられ、命令違反には罰則が設けられる。
自動運転については、特定の条件下で無人操作が可能となるレベル4相当の事業者らを、都道府県公安委員会の許可制とする。過疎の廃線跡など限られた地域での無人巡回バスなどを想定している。交通事故発生の際は、車両を遠隔で監視する担当者が現場へ駆けつける体制を義務付けた。 また、令和6年度末に運転免許証とマイナンバーカードとの一体化が開始されることを踏まえ、転居などの際にマイナンバーカードの住所変更などをすれば、警察への届け出が不要となるといった規定も整備される。
さらに、千葉県八街市で昨年6月、児童5人がトラックにはねられ死傷した事故を受け、車5台以上を使う事業者が「安全運転管理者」を置かなかった場合の罰金上限を5万円から50万円に引き上げる内容も盛り込まれた。