和歌山県は3日、6日に期限を迎える新型コロナウイルス対策の蔓延(まんえん)防止等重点措置の解除を国に要請したと発表した。飲食店への営業時間短縮要請も7日以降は解除する方針。ただ仁坂吉伸知事は会見で、当初は国に重点措置延長を希望したものの「断られた」と交渉過程を明かし、不満ものぞかせた。
重点措置の解除要請に伴い、県内全域を対象にしていた飲食店への営業時間短縮要請を取りやめ、県民への不要不急の外出自粛呼びかけも「安全な生活・安全な外出」呼びかけに切り替える方針。
ただ、感染拡大防止のため、参加者が千人を超えるイベントについて主催者などに求めてきた書類提出は継続する。
県によると、県内では感染再拡大への懸念は完全に払拭できないものの、県内の新規感染者数や自宅療養者数、病床使用率などが下降傾向にあり、国の分科会が示した重点措置の解除基準を下回っているため、今回、国に重点措置の解除を要請した。
ただ仁坂知事は会見で、県内の感染状況について「次第に感染者も減り、病院もほどほどに回っているが、(感染者は)県にとっては非常に多い。保健医療行政も大変」と依然厳しい認識を示した。
さらに「(重点措置を)『続けさせていただけませんか』と(国に)言ったが、だめだった」と交渉過程を明かし、「国の基準では、和歌山だけ延長というのは異常という感じがあるのは事実なので、ギブアップした。権限が政府にあるので、従わざるを得ない」と最終的に解除要請した理由を説明した。
2月5日から続けてきた重点措置の効果については「政策を総動員した結果、(感染者数が)下がったので無駄だったとは言えないが、(飲食店への)時短要請がどれだけ効いたのかは検証できない」と述べた。
隣接する大阪府が重点措置の延長を要請していることについては、「飲食店の時短営業を解除する和歌山に大阪から人が流れてくることはないと思うが、様子を見たい」とした。
また、県民に向けては、「飲食店(の時短要請)を解除するのに、一般の行動自粛を継続するというのは矛盾がある」として不要不急の外出自粛呼びかけを取りやめる一方、「飲食や外出はマスクの着用や消毒、換気などをした安全な方法でお願いしたい」と改めて感染防止対策の徹底を呼びかけた。