トヨタ自動車は1日、サイバー攻撃が原因とみられる仕入れ先のシステム障害により国内工場の稼働を停止した。全14工場28ラインが対象となり、約1万3000台に影響する。2日以降の稼働再開は未定。早期再開に向け、仕入れ先と協力し、状況確認や原因調査を進めている。
岸田文雄首相は2月28日、ロシアとの関係を問われ「確認した上でなければ答えるのは難しい」と明言を避けたが、ロシアのウクライナ侵攻を機に世界各地でサイバー攻撃が相次いでおり、経済産業省は国内企業に対策の強化を呼び掛けたばかり。日本を代表するトヨタ自動車のサプライチェーン(供給網)に被害が及んだことで、警戒が広がりそうだ。
障害が起きたのは、樹脂部品などを手掛ける小島プレス工業(愛知県豊田市)。同社によると、社内サーバーが停止したのを確認した。NHKは「ランサムウエア」と呼ばれる身代金要求型ウイルスが使われた疑いがあると報じた。
ランサムウエアを開発する犯罪グループの多くはロシアの管轄内で活動しているとされ、グループの一つはウクライナ侵攻に関して「ロシア支持」を表明している。
また、ロシアのウクライナ侵攻直前、ウクライナ政府のウェブサイトが大量のデータでコンピューターや通信システムに障害を起こす「DDoS(ディードス)攻撃」を受け、閲覧できなくなった。同国政府は26日、ロシアのサイバー攻撃から守るために「IT部隊」を創設した。
一方、国際ハッカー集団の「アノニマス」は、ロシア国防省など政府機関のサイトや国営放送をハッキングしたと声明を出すなど、サイバー戦争が激化している。