首相、プーチン氏制裁で退路断つ 領土交渉頓挫覚悟

産経ニュース
参院予算委で答弁する岸田文雄首相=28日午後、国会・参院第一委員会室(矢島康弘撮影)
参院予算委で答弁する岸田文雄首相=28日午後、国会・参院第一委員会室(矢島康弘撮影)

ロシアによるウクライナ侵攻を受け、岸田文雄首相は対露外交を大きく転換する決断に踏み切った。27日にプーチン大統領らの資産凍結などの制裁措置を取ることを発表し、28日も速やかに制裁を実施する意向を示した。今後、プーチン政権との間で北方領土返還に向けた交渉を進めるのは困難になることも覚悟した上で退路を断った。

首相は28日の参院予算委員会で、ウクライナ侵攻について「強い非難の思いを行動で表す。その一端として、プーチン氏をはじめロシア政府関係者に対する資産凍結を明らかにした」と説明した。日露外交筋は「もはやプーチン氏との間で領土交渉するのは無理だと公言したようなものだ」と語る。

複数の政府関係者によると、プーチン氏への制裁に関しては政府内でも意見が割れた。制裁を科せば領土交渉が頓挫しかねないとの見方があった一方、米英カナダ政府などが25日に制裁を発表したため、「領土問題があるから制裁しないというのは筋が通らない」と主張する声もあった。最終的に27日に政権幹部や関係省庁が首相公邸に集まり、首相が判断を下した。

領土交渉をめぐっては、2018年に安倍晋三首相(当時)とプーチン氏がシンガポールで行った会談で、平和条約締結後に歯舞(はぼまい)群島と色丹(しこたん)島を日本に引き渡すとした日ソ共同宣言を基礎に交渉を加速すると確認。菅義偉、岸田両政権でもシンガポール合意を引き継ぐ考えを示していた。

安倍氏が「2島返還」を優先する形で平和条約締結を目指したのは、中国とロシアを引き離すことを狙った側面もある。プーチン氏が強固な政権基盤を誇ることを前提に「領土問題を解決できるのはプーチン氏がトップの間しかない」という声も根強かった。

だが、こうした対露戦略は、ウクライナ侵攻で見直しを余儀なくされた。外務省幹部は「今のロシアは安倍氏が交渉していたころのロシアではない」と語る。

政府はシンガポール合意は維持されているとの立場だ。領土交渉のてことするための北方四島での共同経済活動に関しても当面は進展させない方針だが、正式に「中止」を宣言することは見送る。しかし、プーチン政権と決定的に対決する姿勢を示したことで、交渉進展が見込めるのは「プーチン後」の政権が誕生してからとなる可能性もある。(杉本康士、大橋拓史)

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