▼CAの勤務評価の9割
韓国系エアラインというよりもアジア系エアラインならどの会社にも共通するのが「統一美」です。
皆さんも空港や飛行機で見かけたCAについて、アジア系と欧米系との違いに驚いたことはありませんか? ユニフォームの着方には特にその航空会社のカラーが出ます。
私の会社ではユニフォームの着方、メイク、ヘア、そして表情管理…このすべてが、CAの勤務評価の約9割といっても過言ではありません。
▼シワひとつあってはならない
まず、ユニフォームの着方についてです。
毎回のアイロンは必須です。自宅に限らずステイ先での滞在の場合でも、ブラウス、ジャケット、スカート、そしてエプロンに至るまで、しっかりシワなくアイロンをかけること、いつでも清潔でいることが私たちの会社の決まりです。
私たちのユニフォームは他社のものよりも汚れが目立ちやすく、常日頃からキャリーケースに予備のユニフォームが2~3着は入っています。
また、空の上でお客様にお食事やお飲み物を提供する際についてしまったコーヒーなどのシミをすぐに落とせるように、シミ消しマーカーなどもマストアイテムとなっています。忘れると、クルー同士で貸し借りします。
とはいっても、エプロンは、狭い機内で折りたたんで小さなスペースに保管しておくため、シワのない状態を維持するのがなかなか難しいんです(泣)。
▼フライト中もおくれ毛が減点対象に
次にメイク&ヘアスタイルの徹底についてです。
- メイクは会社のカラーに合った色を
- リップは取れないものを。取れてもすぐに直す
必ず、入社直後の研修期間中に口酸っぱく言われるのがこの2点です。
シャドウとリップは会社のカラーに合わせるために、色が指定されています。これらができないと研修中はもちろんフライト中も減点の対象になります。
ヘアスタイルは、後れ毛ひとつないシニヨン(お団子ヘア)かショートカットです。ショートカットの場合にはきちんとブローがしてあり、寝癖一つない状態であることが条件になります。
後れ毛やいわゆるアホ毛が一つでも出ていると減点の対象になるので、私も毎回ムースやジェル、スプレーなどの整髪剤でガチガチに固めています。どれくらい固めるかというと、毎回シャンプーを2〜3回しないと落ちないほどです(笑)。
▼サービスからクレーム対応まで、状況にあわせた表情管理
最後に表情管理について。
表情管理はどこのエアラインにいてもお客様の前に立つという立場である限り同じ意識だと思います。ですが特に私の会社では、表情管理について普段のサービスからクレーム対応まで、様々な状況に応じた表情の管理がかなり厳しいように思います。
また、常日頃から笑顔でいるこの職業ならではで、笑った時の「歯の白さ」や「歯並び」まで気にしている人も多いのです。なので、会社の規定には反するものの、歯の裏側の見えない位置に矯正器具を装着して乗務しているCAもよく見かけます。ここまでするのか! というくらい、美の追求に余念がないですね。
CAたちが放つキラキラしたオーラの源
いかがでしたか? 少しではありましたが、韓国系航空会社の美意識とそこで働くCAたちの習慣などについてお話しさせて頂きました。やはり、お国柄などもあらわれますね。私はあまり美意識が高いとは言えませんが、見えないところでの「美への努力」が少なからず普段のキラキラしたCAのオーラとして表に出てくるのではないかと考えています。
荒井由海(あらい・ゆみ)
東京都出身。日本人の父、韓国人の母の間に生まれる。韓国語は全く話せなかったが、韓流ブームをきっかけに高校時代から独学し習得。幼い頃から欧米諸国への留学に強い憧れを持ち、大学時代に米ボストンでの語学留学を経験。大学卒業後は1年間Web広告代理店の海外営業を務め、20代は「まだ見たことのない国へ行ってみたい!」との思いから日系航空会社に入社後、第一志望であった現在の航空会社に転職。現在乗務5年目。趣味は登山、世界のお酒飲み比べ、温泉巡り。
【CAのここだけの話】はAirSol(エアソル)に登録している外資系客室乗務員(CA)が持ち回りで担当します。現役CAだからこそ知る、本当は教えたくない「ここだけ」の話を毎回お届けしますので、お楽しみに。アーカイブはこちら