いきもの語り

都心のカラス、ピーク時の7分の1に 共存に意義も

産経ニュース
早朝の銀座で生ごみに群がるカラス。分別などが徹底される前の都内では頻繁に見られた=平成8年、中央区(唐沢孝一さん提供)
早朝の銀座で生ごみに群がるカラス。分別などが徹底される前の都内では頻繁に見られた=平成8年、中央区(唐沢孝一さん提供)

真っ黒なカラスが、都会のごみ捨て場に群がっている-。そんな光景を最近、見なくなったと感じる人は多いのではないか。

都市部の鳥類を調べる「都市鳥研究会」(事務局・埼玉県和光市)の調査で、東京都心のカラスはピーク時の7分の1近くまで減ったことが分かった。ごみ捨て場荒らしを防ぐカラスネットの普及などに加え、新型コロナウイルスの影響でごみが減り、エサ不足となったことも原因とみられる。嫌われがちなカラスだが、自然界で担う役目もあり、減少を手放しで喜ぶことはできないという。

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都心のカラスは大半がハシブトガラスで、本来は見通しの悪い森林などにすみ、樹木などから急降下して狩りを行う。雑食性のカラスにとって、都心はエサとなる生ごみが豊富で、街路樹や電柱などで巣作りもしやすく、天敵の猛禽(もうきん)類も少ない。林立するビルを森林のように認識しているとも言われており、都会の環境に順応して増えてきた。

冬場の夜には、ねぐらとなる緑地に集まる習性を持っており、研究者や市民ボランティアらで作る都市鳥研究会は、この習性を利用して個体数の追跡調査を行ってきた。

明治神宮(渋谷区)、豊島岡墓地(文京区)、国立科学博物館付属自然教育園(港区)の3カ所で、昭和60年から5年ごとに調査。令和2年は新型コロナの影響で中止し、3年12月に実施した。その結果、3カ所で確認されたカラスは、前回の平成27年から4割以上減り、ピーク時の12年と比べて85・1%減だった。

減少に転じた原因について研究会の顧問、唐沢孝一さん(78)は「バブル経済の終わりで経済活動が縮小してごみが減り、カラスネットの普及や、ごみ分別の徹底といった対策が進んだことが挙げられる」と話す。コロナ禍で飲食店が休業し、ごみが減ったことも急減に影響したとみている。

天敵の都会進出も減少に追い打ちをかけた。調査では自然教育園での減少が顕著で、前回の848羽から25羽へと激減。同園では29年からオオタカの繁殖が確認されており、研究会は禁猟区が多い都心に逃げてきたオオタカに捕食されるなどして、すみかを追われたと考えている。

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ごみ捨て場を荒らして景観を損ね、糞(ふん)や鳴き声、威嚇などで人間に迷惑をかけてきたカラス。唐沢さんは「増えすぎは問題だが、減りすぎても支障が生じる可能性がある」と懸念する。

カラスは生ごみだけでなく、ネズミなどの害獣も食べる。動物の死骸を食べる役割もあり、唐沢さんは「カラスやハト、ネズミなどの死骸を都内で見ることは少ない。それはカラスが死骸を食べていることも影響している」と指摘。都心のカラスの減少傾向は続くとみられ、「今後は、都内で動物の死骸を見る機会が増え、ネズミなどの害獣が増殖する可能性もあるのではないか」と推測する。

東京では、増えすぎたカラスを減らすことを一つの目的として、ごみの削減や出し方の改善に努め、環境美化が進んできた。唐沢さんは「カラスの数を指標に都心の環境を知ることもできる。やみくもにゼロにするのではなく、程よい関係性を築くことも大切だ」と話した。(永井大輔)

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