ウクライナに残った婚約者、日本人男性「何もできずつらい」 戦火とコロナに引き裂かれ

昨年、ウクライナ国内を旅行した際の谷康行さん(右)と婚約者のリュボフ・テレシェンコさん(谷さん提供)
昨年、ウクライナ国内を旅行した際の谷康行さん(右)と婚約者のリュボフ・テレシェンコさん(谷さん提供)

ロシア軍のウクライナ侵攻が現地で暮らしていた日本人男性と、ウクライナ人女性との幸せを脅かしている。結婚準備のために1月に2人で日本を訪れるつもりだったが、新型コロナウイルス禍による外国人の入国制限のため、男性は単身での帰国を強いられ女性はウクライナに残った。程なく戦火が勃発、未来はさらに狂わされた。男性は「彼女がおびえているのに何もできないのがつらい」と苦しい胸中を明かした。

「爆発音が聞こえた。あなたと住む家を出て、これから近くの実家に行く」。ロシア軍のウクライナ侵攻が始まった24日昼ごろ(現地時間同日早朝)、石川県に滞在中の谷康行さん(32)のもとに、婚約相手のリュボフ・テレシェンコさん(24)から連絡が入った。首都キエフの南西に車で1時間ほどの距離にある「ボヤルカ」という町。2人は先月まで、ここで一緒に暮らしていた。

6年ほど前からキエフの大学でロシア語などを学んでいた谷さん。2年が過ぎたころ、当時、大学病院で研究員をしていたリュボフさんと知り合い、将来を誓い合う間柄になった。

谷さんは今年1月初めに日本に帰国。リュボフさんも同伴し両親と顔合わせをする予定だったが、オミクロン株の感染拡大で日本政府が外国人の新規入国を原則禁じており、かなわなかった。現地での結婚に向け必要書類をそろえ、2月27日にウクライナへ戻る計画も、その3日前のロシア軍侵攻に阻まれた。

情勢が緊迫度を増していた2月中旬、谷さんはリュボフさんに「(トルコの)イスタンブール辺りに避難し、そこで落ち合わないか」と打診した。だがリュボフさんは「私の家族が、人生が、ここにある」と故郷への愛着を示し、自国での待機を選んだ。親族の一部は「何かあれば戦う」との意思も示したという。

谷さんによると、ボヤルカに、ロシア軍の標的になるような軍事施設はない。ただ、リュボフさんは「25日朝も爆発音があり、夜には、数分ごとに聞こえた」と話しているといい、戦火の到達を懸念する。上空には、ヘリなどの軍用機も飛び交っているという。

日本とウクライナの時差は7時間。リュボフさんが眠りにつく現地時間の深夜、日本時間の早朝まで、2人はテレビ電話やメールでやり取りを続けている。現地では近く、電気と水が止まるとの情報が流れたといい、多くの電力を消費するテレビ電話は今後控えるつもりだ。

先の見えない暗闇の中にいる最愛の人。「画面越しに、彼女の手が震えていた。自分は励ますこと以外に何もできず、今は事態が一刻も早く収束することを祈るしかない」。谷さんはそう訴えた。(中村翔樹)

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