話の肖像画

桂文珍(25)楽しみながら80、90代の「文珍落語」を

産経ニュース
記者会見で=平成22年
記者会見で=平成22年

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《文珍さんには「孤高(ここう)の人」というイメージがある。群れない、ブレない、芸人らしくない―。そう伝えたら、文珍さんの反応は意外にも…》


「孤高」ですか?

いやいや落語は皆、孤独ですよ。結局は、1人でクリエイトせなアカン芸ですからね。(孤独は)当たり前のことですわ。

「高み」にある、というイメージも違う、と思う。

昨年、亡くなられた(柳家)小三治(こさんじ)師匠=人間国宝=は、インタビューか何かで「より高みを目指しますか?」という趣旨のことを聞かれて、「野原をはいずり回るようなものです」などと答えておられた。

私もそれに非常に共感しますね。自分が「面白い」と思ったものを、お客さんにともに楽しんでいただきたい。そこへいざなうことができれば、それ以上に幸せなことはないんです。

そもそも、自分のイメージがどうだ、こうだ、と考えることはありません。日々、毎日の仕事に追われていますし、イメージなんて、人さまがお決めになることですから。


《昨年の流行語大賞でトップ10に入った言葉に「親ガチャ」がある。インターネット上で若い世代に、はやった言葉で、「子供は生まれてくる環境や親は選べない」という意味だ》


「親ガチャ」はまぁ、自虐的なイメージなんでしょうけど、私に関していえば、「お客さんガチャ」ですな。悪い意味じゃありませんよ。いろんなお客さんがいらっしゃるのが演芸場の面白いところです。つまり「お客さんを選べない」。唯一、私ら芸人ができることは、できるだけお客さんの「お好み」に沿ってやらせてもらうことです。

胸襟を開いてもらい、納得して「楽しかったな」と笑顔で帰っていただく。それだけが私の願い。だから、劇場に出演し続けているんですわ。

落語という芸能は小説とよく似ていると思います。(小説も)文字だけだけど、そこからいろんな世界が広がるでしょう。(小説が)映像化されて、映画になるパターンなんかと(落語の)イメージは近いと思いますよ。


《ガチャでいうならば、日本人は「国ガチャ」だという》


「国ガチャ」ですよ、日本人は…非常に恵まれてますな。衣食住に事欠く人は少ないし、若い人たちにとっては教育も行き届いている。そのことを、もっと誇りに感じて、自信をもってほしいもんですな。


《昨年、上方落語ブームの担い手のひとりでテレビでも人気を誇った笑福亭仁鶴(しょうふくてい・にかく)さん(8月、84歳で死去)、前述した「人間国宝」で東京落語界きっての名人とたたえられた柳家小三治さん(10月、81歳で死去)、新作落語の革命児として文珍さんも多大な影響を受けた三遊亭円丈(さんゆうてい・えんじょう)さん(11月、76歳で死去)らを見送った》


私もエエ年になりましたから、いつどうなるか、分かりませんねぇ(苦笑)。

えっ? 「人間国宝」ですか?

小三治師匠がお亡くなりになって、落語界に「人間国宝」は一人もいなくなりましたね。もっとも上にはまだまだ先輩がたくさんいらっしゃる…。「あと何人見送れば…」なんて(苦笑)。

もちろん冗談でっせ。ネタでは口にできても、私なんか、とてもとても。

この後、文珍落語がどうなるか? これから80代、90代の落語をできたらいいですね。楽しみながらしゃべれるようになればいい、と思うんですよ。(聞き手 喜多由浩)

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