「にんにん じゃじゃーん 甲賀忍者は薬の術」-。滋賀の名物や特産品をポップなイラストとコミカルな文章で仕立てた「滋賀コレかるた」が注目を浴びている。制作したのは草津市在住のデザイナー、松井栄里さん(49)。子供だけでなく多くの人に滋賀の魅力を広めたいという思いが込められており、松井さんは「楽しみながら、滋賀のことを学んでほしい」と話している。
伊吹山(米原市)や多賀大社(多賀町)、メタセコイア並木(高島市)などの観光名所から、近江牛やふなずしといった食べ物まで、滋賀の魅力が詰め込まれた滋賀コレ(コレクション)かるた。それぞれのカードには詳しい解説もついており、大人でも楽しむことができる。
「おじいちゃんやおばあちゃん、お父さんやお母さんから、滋賀の名所などについて話してもらうきっかけづくりにもなると思う」と松井さんは説明する。
京都市出身の松井さんは約20年前、結婚を機に草津市に移住したものの、当時の滋賀のイメージは「琵琶湖〝しか〟ない」。滋賀出身の友人も同じことを言っていたという。
だが、子供を遊びに連れて出かけたり、仕事で県内のさまざまな場所へ行ったりするうちに、歴史のある寺社仏閣や自然がたくさんあることに驚き、滋賀の魅力に気づいた。同時に、「京都の人は京都のことに詳しいのに、滋賀の人は滋賀のことをよく知らないのではないか」とも思った。
「子供のころから、滋賀についてよく知っていたら、もっと好きになり、誇りを持てるはず」
読み札には、「ぬるっと するっと びわこおおなまず」といった子供が何度も読みたくなるような文章を心掛け、自然に学べる工夫を凝らした。
オンラインショップや草津市の近鉄百貨店のほか、昨年末からは大津駅観光案内所(大津市)でも販売を開始した。案内所の担当者は「お孫さん用に購入する人が多い」と話す。
松井さんは「子供時代から親しんでもらい、実物を見たときに『かるたに出てきた!』と思ってもらえたらうれしい」と話している。(清水更沙)