投資アドバイザーを名乗る大阪市の会社代表の50代の男が、暗号資産(仮想通貨)や人工知能(AI)を活用したファンドに投資すれば、高配当が得られるなどと勧誘しながら配当が滞り、出資者から返金を求められるなどしていることが15日、関係者への取材で分かった。男が応じないため、一部の出資者は損害賠償を求めて提訴するとともに警察に相談。男は5年ほど前から10億円以上を集めていた可能性があり、民事、刑事両面で実態解明が進む見通しとなっている。
関係者によると、男はイベント企画などを手がける会社の代表で、「暗号通貨投資アドバイザー」を自称。暗号資産などに関するセミナーを開き、参加者やその紹介で知り合った人たちを勧誘していた。
投資先として、新しく開発された暗号資産のほか、AIを活用して外国為替証拠金取引(FX)を行うファンドなどを紹介。「1日1%の利益が出る」「元本保証もあるしっかりした会社だから大丈夫」などとうたい、関西を中心に全国各地の男女から現金や暗号資産を集めていたという。
だが配当は滞り、出資金の返還にも応じないため、大阪や兵庫に住む出資者が令和3年、男に損害賠償を求めて大阪地裁に提訴し、係争中。原告の代理人弁護士によると、男の口座には10億円以上の入金があったが一部を投資に回さず、出資者への初期の配当に充てるなどした疑いもあり、「詐欺的な手口だ」と指摘している。
これに対し、男は訴訟の中で、一部の出資者には会ったことがないなどとし、元本保証についても否定している。