パナソニックは14日、電子部品を基盤に組み込むための工場の実装ラインで、人工知能(AI)を使った自動化サービスの提供を始めると発表した。電子部品の実装は電気自動車(EV)の普及などで成長が見込まれるが、製造現場では人手不足と、新型コロナウイルス禍による需給の急変に対応できる自動化のニーズが高まっている。同社は将来的な24時間365日止まらない工場の実現へ向けさらなる開発も進める。
AIによる実装ラインの自動化は、生産現場と計画立案の2つの領域からなる。生産現場ではこれまで人の勘と経験に頼っていた工程をAIが担ってミスを最小化することに加え、トラブルからの復旧を自動化する。令和4年度以降は消耗品の補給を自動化する製品も投入する。一方、計画立案では現場からのデータをもとに変動する需給に対応した計画を自動で立てる。
オンラインで会見した同社でシステム事業の責任者を務める樋口泰行専務執行役員は「パンデミック(世界的大流行)に伴う需給の変化に設備の増強だけでは対応できない。不測の事態に対応して自律的に稼働できる工場を目指す」と話した。
パナソニックは電子部品実装機で業界トップの約3割のシェアを誇る。実装機の世界市場は年5%以上の成長を続けており、同社は自動化の仕組みを提供することで、12年に自動化事業全体で4千億円の売上高を目指す。