阪神の三塁手がGG賞を獲得すれば、2017年の鳥谷以来だが、日本選手の「4番・三塁」となれば1985年の掛布雅之以来となる(当時はダイヤモンドグラブ賞)。選ばれるためには守備がうまいだけではなく、シーズンを通して戦力になる必要がある。昨季は129試合に出場し、21本塁打を放ったが、開幕から座っていた4番の座を5月に佐藤輝に譲る形となった。1年間ポジションを守り切る。そのための体力強化。根性を養う意味でも、大山はこの練習の重要性を理解している。
「1年間戦う大変さはやった人にしか分からない。自分としても疲れてくると下半身が使えなくなるので、すごく大事な練習だと思う」
45分間で受けたノックの数は258本! 最後は息つく間もなく白球を追った大山に、別ポジションで「愛の無事着」を行っていた近本&木浪から「悠輔(大山)、頑張れ」と〝同級生愛〟が飛んだ。そして、矢野監督はスタンドのファンに「拍手ちょーだい」とお願い。虎党からの愛で最後の力をふり絞ると終了と同時にグラウンドに倒れ込んだ。そして、指揮官と熱いグータッチだ。
「一球一球、受ける中でも、意図を持ってやった。これをシーズンで生かさないことには意味がないのでしっかりやっていきたいと思います」
2022年の締めは決まった。最後に金のグラブを受け取り、「愛の無事着」を完結させる。(原田遼太郎)
■ゴールデングラブ賞 正式名称は三井ゴールデングラブ賞。守備のベストナインを表彰するもので1972年にダイヤモンドグラブ賞として創設。86年から現名称。選考対象となる投手は規定投球回数以上またはチーム試合数の1/3以上に登板、野手はそれぞれのポジションでチーム試合数の1/2以上に出場していることが条件。新聞社、テレビ局などのプロ野球担当5年以上の記者の投票で選ばれ、受賞者にはトロフィーと賞金50万円が贈られる。最多受賞は福本豊(阪急)の12度(12年連続)。