成績上位者が多いクラスでは、ほとんどの生徒が何かを読んでいる。それも教材ではなく、ほぼ押し並べて小説の類いである。休憩時間を惜しんで読書をしているのである。どちらが因でどちらが果なのかは分からないが、こういうクラスはほぼ間違いなく、授業中の集中度も高い。
一方、成績低迷者が多いクラスでは、多くの生徒がおしゃべりをしているかスマホをいじっているか、中・高生の男子であれば、それらに加えて寝ているかである。
受験や将来のために「熱中できる趣味を極める」という考え方
読書に限らず、小学生のなるべく早い時期に、子ども本人が“熱中できて”かつ学力アップにもつながる何かを習慣化することを考えたい。
筆者の場合、小・中学生の時期は読書(特に小説)嫌いで伝記と童話・神話くらいしか読まず、4教科の中では国語だけはダメであったが、大学生の半ばから30代まで相当な冊数を読み、今日に至っている(ちなみに、高校生の時の愛読書は「ブルーバックス」)。
最近の入試問題の長文化傾向を鑑みても、読解力の前に語彙力が重要であることは間違いない。と同時に、語彙力の乏しい子は総じてあまり本を読まないし、諺や故事・成語にも疎い。
逆に、勉強するときは集中が途切れがちだったり飽きっぽかったりする子どもでも、好きなジャンルの本となると、集中していつまでも読んでいるという子もいる。経験上そういう子は、使う言葉も含めて話すこと(言葉で説明すること)は達者である。
読書、工作、魚や虫などの飼育、料理(食)、天体観測、世界遺産…学力に直結とまではいかなくても、その基礎となる知恵・知識、想像力、空間把握力等々に資する「趣味」はたくさんあるはずだ。「一通百通」―『五輪書』(宮本武蔵)に曰く、「一つの道を極めた者は全ての道に通じる」―である。
【受験指導の現場から】は、吉田克己さんが日々受験を志す生徒に接している現場実感に照らし、教育に関する様々な情報をお届けする連載コラムです。受験生予備軍をもつ家庭を応援します。アーカイブはこちら